石叫■           「夢広がる世界」

 今回の記事は北加在住の堀田郁子さんからのものである。彼女の感動した記事を読ませていただいて、その同じ感動を味わって欲しいと願っている。

以前、ある地方新聞で面白い記事を読みました。富士山に降った雨が地中を通って平野部で再び地上に湧き出るのに、どれだけの時間がかかっているのか、という研究についての記事です。諸説あって、これが間違いなく正しいという見解は得られていないのだそうですが、たとえば、ある人は、井戸の地下水位の経年変化と御殿場気象観測所における降水量を比較して、二ヶ月ちょっとだと割り出しています。別の人は、地下水に含まれる人工放射性元素トリチウムの濃度変化に視点を当てて分析。その結果、26年から28年と説いています。いやいや、そんなものではない。およそ百年という説をたてている大学教授もおられるそうです。富士山から出る水は、いつの時代だったのでしょう。夢のある話ですね。流速年間1メートル程度だという説ならば、地表に湧き出てくるには山の高さによっては何百年もかかっている。私たちが口にする○○山の名水は、何時代のものということになるのでしょう。江戸時代、それとも鎌倉時代…。こんなことを考えていると、ロマンを味わえますよね。

 星の大好きなある牧師は、あるとき、夜空を見ながら、ひとつの星をさしてあれは二千光年です。つまりイエス様がお生まれになったころの光がいまここに届いて見えているのですと教えてくださいました。ハーッ、もっと凄いスケール! 私たちが、今ここで生きているという時に、いったい、どれほど昔からのもの、積み重ねられてきたものが取り巻いているのでしょうか

 これを読んでアブラハムが見た夜空を思い起こした。彼は神に連れ出されて「天を仰いで星を数えることができるなら、数えてみなさい。あなたの子孫はあのようになるでしょう」(創世記15・5)という記事である。今から四千年前のアブラハムの見た星座はどのようなものであっただろうか。ただ、今から二千年前のイエス様の時代はどうであったかというと、一秒間に30万キロという光に近い猛スピードで拡大している宇宙ではあっても、主の見られた星座は今の私たちにも認識できるであろうと言われる。それほど動いているとは感じられないというのだ。それほど宇宙は広大無辺である。そんな星空を見上げていると、時空を越えて聖書の世界に引き戻されるようで嬉しくなってくるではないか。星空は夢を広げてくれる不思議なロマンに満ちた世界である。