石叫■         「ファイン・チューニング」

 「宇宙は神が造ったのか」というリー・ストローベルというジャーナリストの本が出た。翻訳は我らが峯岸麻子姉である。その紹介だ。「ファイン・チューニング(精密なダイアルセット)ほど、研究者の研究意欲を駆り立てるコンセプトは他にない。ディスカバー誌が『宇宙の状態は、とてもあり得ない。非常に驚くほどに、あり得ない』と表現したとおり、驚異的な正確さなのである」。

 アメリカ人哲学者の最高峰といわれるロビン・コリンズ博士の言葉だ。宇宙が偶然の結果生まれたで済ませるには、あまりにも驚異的な合致なのです。数年前、アリゾナに作られた、ドーム型の建物があり、そこにはコントロール・パネルがあって、すべてのダイヤルは、生命維持装置に適した状態にセットされました。完璧な酸素比率、気温21度。湿度50%、大気補給システムや食物生産システム、エネルギー産出システム、排水システムも完備されています。そのダイヤルをほんのちょっとでも動かしたら、その環境はぶち壊し。生命体はみんな死んでしまいます。生物がそこにあるのは、知性を持った存在が、意図的に、そして細心の注意を払って、生物を生かすための生物圏をデザインし、準備した。これこそ、我々の住む宇宙ができた経緯を示すたとえなのです。

ものさしを想像してみて下さい。それが宇宙全体を横切っているとします。そのものさしはおよそ25ミリ間隔になっているとします。このダイヤルは、自然界の力の大きさの幅を示しています。一番弱いのが重力、一番強いのが原子核を結合させる核力です。そのダイヤルをたった25ミリ動かすだけで重力は十億単位で増加してゆきます。宇宙環境はダイヤルの端から端まで、目いっぱい使って設定できるようになっています。その中で、私たちの住む宇宙で生命体を維持できる範囲は非常に、非常に狭いのです。その極狭の範囲内に、驚異的な正確さで、ダイヤルがセットされているのです。そのダイヤルをほんのちょっと動かしただけでも、重力が十億単位で増加してしまいます。例えば重力の強い想像上の世界では、微小な虫でさえ、自分の体を支えるために太い脚を持たなければならない。そこでは人間に近い大きさの動物は、すべて潰されてしまいます。しかし、これは科学者が研究した生命存在の一つの要素で、物理学、宇宙学の分野で、生命体を維持する宇宙を産み出すために必要な精密較正を必要とする要素は30を超える。「はじめに神は天と地とを創造された」(創世記1:1)という神の宣言はますます揺るがないものになっている。