石叫■             「EXIT」

 この火曜日のカイザー病院でのことだ。とてもユニークな体験をさせていただいたのだが、
チョイト怖いような、でも気恥ずかしいような経験であった。

家内の腎臓の定期検査のためにダウ二ーにある新装なったカイザー病院に行った。
前日の血液検査の結果が届いていて、赤血球数がとても低く、輸血が必要だと担当医師から言われて
しまった。
輸血は初めての経験である。19年前に心臓移植はしていても、輸血はしていない。
最近どうも体力がなく、教会の二階に上がる時も、フーフーハーハーやっとこさという始末。
どうも弱いと思っていたのだが、酸素を吸収する赤血球数が低かったからだ。これで納得。

そのためには同じ建物の一階にある救急治療室に行かなくてはならない。何せ広く新しい建物で、
右も左も分からずに、ただ看護婦さんについてゆくだけであった。
結局輸血するには一晩かかるというので僕は家に帰ることにした。

EXIT(出口)を手がかりに幾つものドアーを通って出たのは良いのだが、階段のある所に
出てしまった。そこから外に出ようとした時、そのドアーに「開けると非常ベルが鳴る」と書いて
あるではございませぬか! 

そこで戻ろうと思って、今出たばかりのドアーを開けようとしたのだが、何と鍵が掛かってしまっている。
二階、三階はどうかと思ったのだが、いずれもロックされている。つまり、非常階段内に閉じ込められて
しまったのだ。三階の上は屋上になっていて、そこからは出られる訳もない。一階の非常ドアーは
開けられるが、病院中に非常ベルが鳴る。それにドアーをバンバン叩いても小さな窓ごしに見える広い
緊急治療室の廊下を歩く人はいない。しかも二重の防火ドアーであるから、その向こうに居る人に聞こえる
はずがない。そこで祈って思案したあげく、屋上に出ることにした。そこから下に居る人に叫ぼうを思ったのだ。
家に帰ろうとする一人の作業員がいた。その彼に「アイム・スタック・ヒアー」(出られなくなった)と
大声で叫ぶと、さっそく携帯でセキュリティに連絡してくれた。

帰り際にオフィスの中を通らねばならなかったのだが、セキュリティの彼が僕を屋上に居た人だと彼らに
紹介するので、彼らの視線がじつに痛かった。

ローマ書でパウロは、「神はすべての人をあわれむために、すべての人を不従順のなかに閉じ込めた」
(10・32)と語る。

不従順という罪の中にいる時に、人はどんなにもがいても、そこからは出られない。
そのドアーの鍵は真のセキュリティである主イエスしか持っていない。

主に叫べ。そしてそこから出でよ!