石叫■        「サン・ゴルゴーニョ山行」 そのA

この度のハイキングはハプニング続きで、希望の日程が組めなかったり、道に迷ったり、ガラガラ蛇を踏みそうになったりで、散々であったが、
それだけに山の厳しさと怖さを思い知らされた山行であった。

さてミル・クリーク・レンジャー・ステーションで28日の朝の八時に一番に入って入山許可を得て、いざ出発と勇んで出かけたのは良いのだが、
思わぬ敵が待っていた。ガラガラ蛇である。これは全く予期をしていなかった。

牧師になっての26年と学生時代の山歩きも含めて、このアメリカでガラガラ蛇に遭遇したことはない。サンタバーバラ修養会でのハイキングでは
何度か見てはいるが、それらは毒蛇ではなかった。だが、今回は尻尾のシュルシュル音を出すラトルを持った1メートル半ほどの体長で、
直径は5センチもあろうかという黒々としたガラガラ蛇が目の前にとぐろを巻いていた。僕との距離は1メートルもなかったであろう。
それを見た途端、僕は思わず数メートルは後にすっ飛ばされたであろう。それまで鼻歌まじりのハイクが、そのガラさんの出現によって一転して
恐怖に変わってしまった。それはまさに三角頭を持った毒蛇であり、僕に気がついて藪に消えて行く時にもラトルもせずに悠然とトレールを横切っていった代物である。
本来聞こえるラトルが聞こえない。多分、かなり老いていたのではないかと思われるのだが、石を放り投げて追い払い、トレールからかなり離れたと思われる頃に、
急いでそこを通ったのだが、それからというもの、藪のそばを通る時にはストックを石に打ちつけて音を出すようにして歩かなければ安心できないほどにビビッてしまった。
学生時代には、よく同僚達がスネーク・バイトという蛇に噛まれた時に吸い出す小道具を持って山を歩いていたものだが、僕は無頓着であった。
でも、もし今回ガラさんを踏んでいたとしたら一体どうなっていただろうかと思うと、今でもぞっとする。

 使徒行伝に、「熱気のためにまむしが出てきて、彼の手に噛みついた」(28・3)という記事がある。彼とはパウロの事だが、
そのまむしを平然として火中に振り落としている。地元の人々が彼の死を予期するような出来事であったが、いっこうに倒れることもなく、泰然としていられたのは、
神の守りがあるという確信からであった。それが土地の人々を救いに導く神のみ業であった。  

片や僕は、祈ることすらも忘れてビビッていた。予期しない災いが振りかかって来ることがある。そんな時こそ信仰者として泰然としていたいものである。