石叫■           「与える女性は幸い」

大塚野百合の「老いについて」という名著の中の第二弾である。今回はエバンジェリン・ブースで、救世軍の四代目の大将になった人である。
デール・カーネギーは「今まで知った中で、最もすばらしい女性で、千人の男性からプロポーズされたという人です……最も幸福な人間の一人です。
他の人のために生きているから幸福なのです」。以下、彼女の人となりを見てみよう。

 エバンジェリンは1865年、イギリスでウィリアム・ブースを父に生まれた。十歳で人形を前に「神は愛なり」という説教をして、父親を驚かし、
父の偉業を継いでロンドンのスラム街で苦しみを共にするために、十五歳で花売り娘として働いた。十八歳で救世軍のキャプテンになり、ロンドンのスラム街の
活動の責任を与えられて、荒くれ男たちに愛のまなざしを注ぎ、彼らを真人間に立ち直らせ心血を注いだ。あるいは子供達のおもちゃを集めて、工場をつくり、
再利用する道を開いたりして、何が必要とされているかを見極める能力があった。それは隣人愛から来ていた。
そのような彼女であったから、人目を引き、天使のような美しさに、ロシア王に求婚される程であったが、かつて父の前で約束したことを思い出し、断ったのだった。
それは十歳の時、「涙の谷」という題のギュスター・ドレの描いた絵の前での経験であった。「そこで私の生涯の方向が、眼前に明らかにされる心地がした。
これらの苦しむ者、救いを求めるよるべなき人々のために、私の命、否、私のすべては献げられるべきであると」。
それからエバはカナダの司令官として働き、アラスカのソーピー・スミスという人殺しの荒くれ男を回心させる。誰も見向きもしない彼に、彼女だけが、
神の赦しの愛をつたえたのだった。
さらにニューヨーク司令官として社会福祉のために働き、「社会鍋」もこのとき始められた。ルーズベルト大統領夫人のエレノアもエバを最高の賛辞をもって紹介した。
その時、彼女はこう言った。「女性には二種類の生き方がある。獲得を目的とする女性と、与えることを目的とする女性」だと。

 主イエスは、「受けるよりは与える方が、さいわいである」(使徒20章)と言われているが、
「いかに時代に目覚め、知識、学問に優れていても、与える心がないと、女性の才能は、本当に意味で人類に奉仕は出来ない」とは大塚氏の言葉である。
エバは与える女性であり、そしてその命まで捧げた人物であった。73歳で天寿を全うしている。1950年のことであった。