石叫■           「もったいない」

 二〇〇四年、アフリカ人女性として初のノーベル平和賞を受賞したケニア人ワンガリ・マータイさんが
来日の際、「もったいない」という日本語に感激し、「モッタイナイを国際語として広めましょう」と
国連会議の場をはじめ、世界各地で呼びかけている。その彼女の人となりを見てみたい。

彼女はアフリカに「グリーンベルト運動」(GMB・植樹を通じた社会運動)を広め、平和な社会づくりに
貢献してきたが、そのために、いかに貧しい農村女性を励まし、政治腐敗と闘ってきたことか。
母国ケニアで学びをした時の恩師はほとんどが海外から派遣されていた。それらの方々に感化され、
大切なことが何かを考えるようになった。それからアメリカで学びをし、それによって、環境と女性と開発は
ひとつながりなのだと理解するようになった。またより大きな公益のために働くことの意義を知ったのも、
この頃受けた教育のお陰であった。今度は自分が後に残してきた人たち、とりわけ母国ケニアの生活の質を
高めたいと思うようになった。自分の力の範囲内で何かができる。そう言った自覚から、植樹運動が生まれ、
みんなが集団で責務に取り組むうちに、徐々に環境を管理しようという動きに発展していった。それは、
やがて政府を変え、よりよい統治を求めるために、市民としての当然の責任を果たそうと言うものであった。
その働きが累計三千万本の植樹となった。彼女の目標は現在一・七%しかない森林を十%にまで高めることである。
そのように身近に樹木を育てることが環境問題を考え、女性を薪拾いなどの労働から解放し、
あるいは果実を得て現金収入にもつながるという、地道な働きによって、このGMB活動を成功裏に導いている。

 聖書に、「しもべは言葉だけで訓練することはできない、彼は聞いて知っていても、心にとめないからである」
(箴言二九章)という言葉がある。
実際に行動で見せ、手とり足とり教えないと、人々は分からないし、ついては来ないという意味である。
マータイさんは、自分の手で植樹をする事によって、お互いのために貢献でき、しいては国を変える事が出来ると
信じたのだ。植樹だったら誰でも出来る。それをしない事ほど「もったいない」事はないと訴えたかったのだ。
実はこの世界において、十字架で主イエスがご自分の命を捨てられた事ほど、「もったいない」ことはない。
その主のなされた十字架のみ業をいつも見上げ、思い出してご覧。それならあなたにも出来る。